大根おろし餅
宅急便はずっしりと重かった。
松阪の姉からの贈り物である。
搗いて間もない鏡餅と大根だった。
大根は収穫を終え、畑に残されたどん辛い大根だ。

おろし餅が大好物であることを知っていて、送ってきてくれる。
短冊に切り下ろし、角餅にして、ラップで冷凍庫に入れた。端の
部分は、おろし餅にしよう。
大根おろしにダシ汁と醤油を加えタレをつくっておいた。
鍋の沸騰した湯の中に餅をいれ、搗きたてのようにして、タレで
食べた。
大根の辛味も効いていて、とても美味かった。

少年の頃、生家の広い台所の板の間で、8人の兄弟、叔母、祖父で
車座になり、母が、搗きたての餅を千切り、鉢に入れたのを皆で競う
ようにして食べたものだ。まるでゲームようではなかただろうか。
「ゆっくり食べな、餅はゆっくり」と母は言い続けて間に合わせていた。
皆が腹八分、いや満腹した頃にはひと一臼の餅は平らげていた。
餅搗きの手を休め、眺めていた父が
「四升の餅がいっぺんか」と、
苦笑していたのを想い出してしまう。
よかったなあ、餅がある正月は
。今でも餅がなくては正月にならない。
それに、飯の炊き忘れの常習犯であるワシは、即代用食にすることがで
きるのもありがたい。
おろし餅と雑煮で年末年始が過ごせる。
餅から幸福感が湧く、感謝。