帰りそびれた鴨一羽
ビルの間に渡された綱に真鯉、緋鯉があげられていた。
風が吹かないので、垂れ下がり申し訳がなさそうである。
その下を潜り、噴水のある池へ出た。
浅い水面に皐月の空を映して、鯉が二三の群れなして悠々と
泳いでいる。
その傍に一羽の鴨が目にとまった。
どうして、帰らなかったのだろう。
泳ぐ鯉が空で、飛ぶ鴨が水の中か、と取り留めもないことを
考えてみた。
晩秋になると、鴨が大挙してこの森の小川に飛来してくる。
それを毎年楽しみにしていた。
昨年はその小川が改修工事のため、水が堰きとめられた。
水がなくては鴨もすめないし、アメンボウも泳げない。
鴨は近くの池や小川に分散したようであった。
このところ、エネルギーが毎日のテーマのようである。
電力が文明生活では必要不可欠であることは言を俟たない。
一方で琵琶湖はもと寄り、河川、海の水質の保全、水源に涵養も
また重要なことだ。
マックア―サーが占領政策を成功させたのも、日本の河川、湖の
水の豊富さ教育に着目し、復興に確信が持てたからである。
水、水、何処の水にも国民は、一大関心をもちたいものである。
さっきの鴨よ、友は半年を待たずに必ず戻ってくる。
此処もいいところだ。
それに一人暮らしも気楽なところもあるんだ。
元気でやれよ!